イケメン御曹司とラブ甘同居
「暇さえあれば、星の観察をしたりしてたよな。この天体望遠鏡は、当時俺が買ってあげたんだよ」


そうだった。

裕一郎さんから、もらったこと覚えてる。




「だけどね…ある出来事があって・・君たちは、離れることになったんだ」




裕一郎さんは、少し言いにくそうな顔をした。




「ある日…君たちは、夜星を見に出かけた。俺たち親に内緒でね。でも…行く途中に、なんらかの事故に遭って……お互いに記憶を無くしたんだ……」


!!!!


それで記憶を・・!?




「2人が発見されたのは、この別荘の裏の山の麓だった。きっと、山を登ろうとして、足を滑らして落ちて、頭を打ったんだと思うが。とにかくその日から、2人の
記憶が消えたんだ。生まれてから、事故に遭った日までの記憶は、全て失ってしまった」


だから、南朋のこと覚えてなかったんだ。

反対に、南朋も私のこと覚えてなかったし…




「今後について、美咲と話し合った結果…
俺たちは別々に暮らすことを選んだ。ここに住み続けて、2人が事故のことを無理やり思い出させてしまったらかわいそうだとおもってね」


裕一郎さんは、小さく笑って言った。




「俺はこの家を別荘に変え、今住んでいる、あの家に南朋と引っ越した。そのあと…美咲とはちょくちょく連絡はとっていたよ。美咲が体調を崩したときも、お見舞いに行ったりしていたしね…」

「そんなこと…全然知りませんでした…」


裕一郎さんが、お母さんのお見舞いに来てたなんて……



「本当は、実乃里ちゃんに会いたかったんだけど…実乃里ちゃんの記憶から、俺は消されてしまっているわけだから…俺に会って、もしも無理に記憶を呼び覚ますようなことは、したくなかったからね」
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