トールサイズ女子の恋【改稿】
「前にも伝えたけど、星野さんの身長は気にしてない。好きだから、並んで歩こう一緒に」
「は…い……」

 やっと出会えた私の理想の恋愛を叶えてくれる人に…、やっと出会えた隣に並んで歩ける人が目の前に現れ、涙でメイクも落ちて、きっと不細工な状態を水瀬編集長にさらけ出してるに違いないけど、それでも泣かずにはいられなくて、何度も鼻を啜って自分の左手で目元の涙を拭う。

「我慢しないで泣いていいよ」
「…い…」

 水瀬編集長は私をそっと抱き締めて、泣きじゃくる子供みたいな私の背中を優しく叩く。

「今度は突き飛ばしたりしないよね?」
「しませんよ…」
「うん、分かってる」

 水瀬編集長は耳元でクスクスと笑うから、もう…と何だか悔しいと思いながらも水瀬編集長に身体を預けると、今まで緊張していたのがスッとなくなっていくのが分かる。

「こんなに泣かせたのは、俺にも原因あるよな」

 水瀬編集長は右手で私の前髪をかき上げておでこに唇をあてると、そこから目尻、耳朶、頬と、水瀬編集長の唇が触れていく。

 私の顔のいたるところに水瀬編集長の唇が触れ、その度にくすぐったくて身体がピクリと反応しちゃったから瞼をギュッと閉じて俯くと、顎をクイッと上に向けられて同時に唇が重なった。

「んん…」

 目尻や頬に触れた時とは違って思いをぶつけるように唇が押しあてられ、水瀬編集長の服をギュッと掴むと口付けの深さが増して、頭の中が真っ白になっていく。

 少し唇が離れて熱を帯びた視線が絡み合ってもまた顔が近づいて自然に瞼を閉じ、水瀬編集長の唇を受け入れたら今度は熱を差し込まれ、2人きりの会議室に私たちの吐息と絡みつく熱の水音だけが響いた。
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