トールサイズ女子の恋【改稿】
「ん…、やぁ…、あぁ…」
「っ…、…はっ…、くっ…」

 最初水瀬編集長の部屋に入った時は肌寒く感じたけれど、今は水瀬編集長から最奥を角度をつけて与えられる刺激に口からは熱の籠った吐息と声が出て、身体が熱く、それによって部屋の室温が熱くなっているのかも。

 水瀬編集長の動きはスピードは増すばかりで、部屋中にベッドの脚が壊れてしまうんじゃないかと思えるくらいの軋む音、肌を強く寄せあう音、深く繋がって絡みつく水音が響き、その音は私の耳を侵食していくので、頭から爪先までの全身が水瀬編集長を感じているのが分かる。

 こんなトールサイズ女子の私のことを好きになってくれたのが嬉しくて、だんだんと満たされていく幸福感を手放したくなくて、水瀬編集長の背中に必死に抱きついた。

「もっとだ」

 私は水瀬編集長に身体を起こさて向かいあって跨がって座る体勢になり、そしてそのまま水瀬編集長が下から強い刺激を与えていく。

「あっ……水…編しゅ…」
「幸雄って呼ん…で…」
「ゆき…、っあ、あぁ!!」
「美空っ、美空っ!」

 ちゃんと名前を言いたいのにそれすらも出来ないくらいに体を揺さぶられ、なんとかして腕を幸雄さんの首に回してバランスを保ちながらそっと幸雄さんを見下ろすと、幸雄さんは額に凄い汗を流して前髪がやや湿っているのが分かり、口からは熱い吐息をずっと出している。

 その幸雄さんの姿が妖艶に見えて、男の人に艶やかな言葉を当てはめるのはおかしいかもしれないけれど、妖艶さを感じたのは間違いないからドキドキしてると、 幸雄さんがピタリと動きを止めて息を整えながら私を見上げる。

「ど…うした…?」
「えっと…、幸雄さんが色っぽく見えて…」
「そんなに煽ると止まらなくなる」
「えっ…、きゃっ」

 幸雄さんに組み敷かれるとマットに沈むように身体を重ねられ、手はシーツと一緒に強く握られ、幸雄さんが動く度にシーツが波を打って皺が出来る。

「美空、好きだ。好きだ、好きだ」
「私も好きです」

 私たちは窓の外から見える空が白く明るくなるのに気付かないまま、まるで水槽の中に泳いで身を寄せる熱帯魚のように絡み合って、その側で本物の熱帯魚は静かに泳いでいた。
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