トールサイズ女子の恋【改稿】
「付き合いだとこうした料理は食べれないから、たまーに来たくなるんだよね」
「俺も一人暮らしで簡単にすますので、こうした料理はいいですね」
「次からは星野さんに作って貰えるじゃん」
「ゴフッ、ゲホッ…」

 高坂専務の直球の突っ込みに噎せてしまい、俺はビールの入ったジョッキを持って飲んで息を落ち着かせる。

「2人が上手くいって、本当に良かったよ」
「高坂専務が会議室に美空…、星野さんが来るからドアを開けてねって、連絡がきた時はびっくりしましたよ」
「何?もう名前で呼びあってるんだ。いいなー、俺も稔っちって呼んでもらいたいな」

 高坂専務のイジリが始まった……、一度始まればとことんイジッてくるもんな。

「姫川に呼ばせればいいじゃないですか…」
「そんなことをしたら、稔っち、姫川に怒鳴られて泣いちゃう」
「いつも怒鳴られてるじゃないですか」
「まあね。星野さんも姫川のことは恐くて、印象はよくないみたいよ」
「姫川は元々そういう奴ですし、直るのを期待をしない方がいいですね」
「仁も同じことを言ってた」
「やっぱり」

 なんとなくそんな光景が浮かんで、2人で笑いあう。

「なぁ水瀬」
「はい」
「分かっていると思うけど社内恋愛って、想像以上に大変だぞ?うちの会社は大手と比べて規模が小さく、社員の数も大手と違ってぎりぎり…、それ以下かもしれない」
「はい」

 お酒も食事も進んで一息ついてると高坂専務が箸を置いて真剣な表情をし、雰囲気からしていつも砕けた口調ではないから、俺は姿勢を正した。
< 119 / 162 >

この作品をシェア

pagetop