トールサイズ女子の恋【改稿】
side星野美空
週が明けていつも通りに毎日が過ぎていくけれど、こんな平穏な日々でも1つ違うのがある。
それはトールサイズ女子の私に恋人が出来て、その人は同じ四つ葉出版社にいる人だけど、最近はプライベートな時間が持てずに会えてないから寂しいな。
「郵便物を配布してきます」
私は郵便物の宛名を確認すると、恋人の名前が書かれていたので口元が緩む。
2階の編集部にICカードを使って中に入ると、編集部の人たちはいつものように忙しそうに仕事をしていて、そして静かに恋人に近づいていくと目が会って微笑む。
「水瀬編集長宛の郵便物をお持ちしました」
「ありがとう、星野さん」
内緒の社内恋愛中の私たちは苗字で呼び、周りから見れば普段のように微笑んでいるけど、そこに特別な気持ちが込められているように感じるのは2人の間しか分からない独特な空気があって、その空気にくすぐったい気持ちを顔には出さないようになんとか我慢した。
次は3階に移動して専務室のドアをノックして開けると、高坂専務だけがいた。
「失礼します、高坂専務宛の郵便物をお持ちしました」
「ありがとう。ちょっと話があるから、中に入って」
「はい、失礼します」
最近は発注をかけるときのミスはしていないし…、どんな話をされるんだろうかびくびくしてきた。