トールサイズ女子の恋【改稿】
「昨日さ、水瀬と2人きりで飲んでいる時に聞いたよ」
「えっ?」

 私はてっきり仕事についてあれこれ言われると思っていたので、変な声を出してしまった。

 私と比べて幸雄さんの仕事は遥かに多くなかなか一緒の時間が取れないのは分かっているけど、高坂専務と一緒に飲んだと知って何だか妬ける……。

「星野さんは分かりやすいって言われない?水瀬と飲んでいるって言ったら、ちょっと眉がピクリとしたよ」
「そうですか?そんな風には思ってませんけど……」

 高坂専務は面白がって笑うから、もぅと心の中で突っ込んだ。

「水瀬の口から星野さんのことを大切してるって聞けて、すごく安心した。ただ…分かっているとは思うけど、社内恋愛は想像以上に苦労することもあるから気をつけて欲しいし、仕事に支障がでないように」
「はい」
「辛くて悲しくても、同じ社内にいる時は嫌でも顔を会わすよ?まぁ水瀬は俺や姫川よりもしっかりしているし、何よりも大切な人を傷つけない優しい奴だから、そこは俺も太鼓判を押してる」

 私に釘を刺すように高坂専務は真剣な表情で話をするんだけど、幸雄さんのことを話す時は優しい表情をしていて、強い信頼があるんだな。

 私たちを見守ってくれる優しさを無駄にしないようにしなきゃ。
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