トールサイズ女子の恋【改稿】
 本当は2人きりだし手を繋ぎたいところだけど、もしかしたら四つ葉出版社の誰かに会うかもしれないと思ってグッと我慢する。

「さっき総務課を出ようとしたときに皆から誰と食べに行くのか聞かれて、どう答えようかと困っちゃいました」
「そうなの?」
「はい。あっ、勿論、幸雄さんと一緒だとは言っていないのですよ?」

 総務課では私の雰囲気が変わっただの、いいことがあったの?など聞かれ、仕舞には四つ葉の女子社員を集めて女子会をしようじゃないかと盛り上がったり、根掘り葉掘り聞かれると流れでポロっと言ってしまいそうになるので、そそくさと総務課から出て行ったのだ。

「社内恋愛って難しいですよね」

 つい本音が、ポロっと出てしまう。

 まだ幸雄さんとの交際を周囲に明かしていないし、どんなタイミングでするのかも決めてなくて、男性は交際を明かすタイミングってどう思っているのだろうか?違う会社同士なら自分から言えると思うのだけれど、私たちみたいに同じ会社の社内恋愛だとタイミングが大事だよね。

「確かに難しいけれど、その分こうして時間を作って少しずつ進んで行こうよ。一緒に並んでさ」
「そうですよね。一緒に並んで行きましょうね」

 幸雄さんは私を励ますように微笑みながら見上げ、私は見下ろしながら微笑みを返した。

 付き合う前は隣に並ぶとどう思われているか考えていたけれど、今は自然と歩けることにすごぐ幸せを感じるから、幸雄さんの言うとおりに少しずつ進んでいけばいいんだよね。
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