トールサイズ女子の恋【改稿】
「いらっしゃい!お久しぶりですね、此方の席へどうぞ。ご注文はお決まりですか?」
「俺は『本日の定食』かな」
「私も同じのにします」
「『本日の定食』を2つですね」

【もりや】に着いて中に入り、店員さんの元気な声に案内されてカウンター席に座ると注文をした。

 私たちは出来るのを待ちながら店員さんが調理する姿を眺め、野菜をリズミカルに切る音や具材を炒めてると美味しそうな香りが鼻腔をくすぐって、料理の美味しさの期待が高まってきた。

「そうだ。雑誌の進行が上手くいっているし、今度の日曜日は何処かに出掛けない?」
「取引先の方とお会いする予定があるんじゃ…」

 以前Barで飲んでいるときに幸雄さんから日曜日に取引先の人に会うこともあると聞いてたので、私と出掛けても大丈夫なのかなと素直にハイと返事が出来なかった。

「実は明日の木曜日、都内のホテルで出版業界に関する交流会があってさ。そこで取引先の人に会うから、日曜日は久しぶりのオフなんだ」
「それなら、以前話したK駅の周辺に行きませんか?」
「うん、行こう」
「一緒に出掛けられるのが、とても楽しみです」

 四つ葉出版社以外で幸雄さんと一緒に出掛けるは初めてだから、私はやった!と満面の笑みになる。

「お2人は、いつの間にかそういう仲になったんですね。どうぞ、レバニラ定食です」

 店員さんが私たちの前にレバニラの定食が載せたお盆を置いて、にこっと微笑む。

「すいません、はしゃいじゃって…」
「付き合ってるんだから、はしゃぐのは当たり前だよ。それに俺だって嬉しいからさ、ほら食べよう」
「はい……」

 幸雄さんは堂々としていて定食を食べ始め、私は気恥ずかしさを誤魔化す為にお味噌汁のお椀を持って一口啜った。
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