トールサイズ女子の恋【改稿】
◆第18章:胸騒ぎが起こるのは何故?
 幸雄さんが高坂専務たちと共に出版業界の交流会へ参加する木曜日、私たち総務課は会議室にて人事課の方たちと共に来年度の新入社員を募集するための話し合いをしている。

「合同説明会への予約は済んだので、当日は我々人事課から1人派遣して、学生へ我が社の説明と面接の日取りを案内します」
「でわ総務課では説明会で使用する備品やパンフレットの用意、面接当日は学生を面接会場まで案内させましょう」

 それぞれの課長たちが段取りを決めていく中、私は自分が大学生時代の就職活動の開始時期とは違って今の大学生の就職活動の開始時期は早い段階から始まるらしく、学生側も準備をする側も大変だ。

 新入社員か―…、私は途中入社なので同期がいないからちょっと羨ましいし、新卒の人って初々しいしくて見ているとほのぼのしちゃうよね。

「星野さん、在庫室で説明会に使う備品を用意してもらえるかな」
「かしこまりました。面接で使用する備品もございましたら、同時に用意します」
「そうだね、それもお願いね」

 私は総務課の課長からの指示を受け、早速備品の準備に取り掛かるために在庫室へ向かい、棚から名札に使うプレートを取り出して必要分を確認する。

 プレート以外にも説明会で使う備品と面接当日に使う物を用意していたら、ジーンズのポケットに入れていたスマホが揺れたので指で画面を弄ると、幸雄さんからメールが届いてた。

『今はどこにいる?』
『在庫室ですよ』
『今からそっちにいくね』

 短いメッセージのやり取りをしたらスーツ姿の幸雄さんが在庫室にきて、普段の幸雄さんはジャケットの組み合わせが多い服装だからいつもと違うからドキドキしちゃって、これが俗にいうスーツマジックと言われるものなのかも。
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