トールサイズ女子の恋【改稿】
 交流会として使用されている大ホールには大勢の業界人が参加をしており、高坂専務は積極的に輪の中に入って交流を深め、姫川は最初は乗り気はしてなかったけどタウン情報を取り扱う業界の人と意気投合し、俺も負けじとファッション雑誌を扱う人たちに話しかけて、これから流行るファッションの情報交換をする。

「秋冬は、このデザイナーが作ったブランドが来そうですね」
「モノトーンでもデザインが洗練されていますから、ターゲット層には確実に人気が出ることが予想されてますね。我が社も次のショーを雑誌で取り上げる予定です」

 そっか、雑誌の内容がマンネリしないように『Clover』でもショーの内容を掲載してみるのも手だし、ファッションの情報は日々変わっていくから、交流会で得た情報を後で部下たちに送っておこう。

 ずっと話していたから喉が渇いたな―…、あそこのテーブルの上にあるドリンクを飲んでみよう。

「いつもお世話になっています、青木印刷です」
「此方こそ、いつもお世話になっています。最近は入稿に時間がかかって申し訳ございません」

 テーブルの上に置かれたドリンクを手にとって渇いた喉を潤おしていたら、青木印刷会社の人たちに声をかけられた。

 青木印刷とうちの四つ葉出版社の付き合いは高坂専務の父親である高坂社長から続いているそうで、そういえば大分前に美空が高坂専務と一緒に接待に参加したって言ってけど、自分が居ないところで恋人がお酒の場に出るのはちょっと嫌だから、今後は接待に参加させないように高坂専務に相談してみようかな。

「あのすいません、ちょっと話しをしたいのですけどいいですか?」
「はい、何ですか?」

 俺は青木印刷会社の内の若い男性と話すことになったが、見た目は俺よりも少し背が高いしどこか態度もでかく、あまり波風立てないように会話をした方がいいと思いながら2人で大ホールの端っ子に移動した。
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