トールサイズ女子の恋【改稿】
「そちらの四つ葉出版社に、星野さんという女性がいますよね？」
「いますけど、その人が何か？」
「この間の接待に出た時に彼女に会ってゆっくりと話をしたかったんですけど、今日この交流会に来ている四つ葉出版社の高坂っていう人に邪魔されたんですよね」
「高坂専務にですか？すいません、場所を移して話をしませんか？」
「いいですよ」

　接待があったのは聞いたけど美空は一言もこの話をしていないな……、それにこんなに大勢の人がいるところで彼女の話を聞かれたらまずいし、交流会が行われている大ホールから出てれば広いスペースがあった筈だから、そこで話をしようと２人で広いスペースに出てみると思った通りで人は少ない。
　
「つかぬことをお尋ねしますが、貴方と星野さんの関係はなんですか？」
「美空とは３年ほど付き合ってましたよ。スタイルもいいし、勿体無いことをしたなぁ」

　こいつが美空を、美空の心を傷つけた男……、見るからに態度がでかくて言葉の端々に嫌みが含んでいるから、美空はこんな奴と別れて良かったじゃないか。

「せっかく寄りを戻そうと思ったけど美空は怒るし、機嫌を直してやろうとキスを迫りましたが寸前で邪魔されたんですよね。だからそっちの高坂って奴に邪魔すんなよって言いたいので、呼んでもらえますか？」
「まず、そんなことで高坂を呼ぶことは出来ないですね。大体、自分から振っておいて寄りを戻そうとするなんてどうかしてますよ？彼女が今までどれだけ辛い思いをしてきたか、分かっているんですか？！」
「確かに美空の身長は高いから付き合う男は大変だけど、俺なら身長のバランスがいいし美空だってそう思ってるよ」
「それは無い。今は俺と付き合っているから、あんたに寄りを戻すとかそんなことはさせない」

　元彼の前で美空と付き合っていることを宣言したのは、こんな奴に寄りを戻させてたまるか！と思ったからだ。
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