トールサイズ女子の恋【改稿】
「それを聞いて、あぁ凄く恵まれてるなって。こんなにも温かい言葉をかけてくれるなんて四つ葉出版社にきて良かったって…、そう思いました」
「うん、俺も高坂専務たちがいてくれて良かった。今回みたいに美空を泣かせたり傷つけてしまったり、これからも忙しくて寂しいこともさせるかもしれない。やっぱり社内恋愛って難しいけど、美空はさ…俺とこのまま隣に並んでくれる?」
「はい…、ずっと幸雄さんの隣にいます。私も今回で社内恋愛の厳しさや辛さを感じましたけど、それでも幸雄さんのことが好きだから、隣に並ばせて下さい。一緒に並んで歩こうと言ったのは幸雄さんですよ?」
「そうだね、また何かあったら1人で抱え込まないで、こうして2人で向き合っていこう?」
「はい…」

 私は瞳を潤ませながら精一杯の笑顔を幸雄さんに向けると、幸雄さんは私を抱き締めて背中を優しく撫でてくれた。

 そういえば幸雄さんと付き合う前に四葉出版社の会議室に行った時も、こうして幸雄さんは優しく抱きしめてくれたっけと思い出していると、幸雄さんは両手で私の頬に流れる涙を掬うように唇をつけいき、そのままベッドに押し倒してもまだ唇が触れてくる。

「幸雄さ―…」

 私の言葉を封じるように唇が重なり、在庫室で隠れながら交わした口付けはとても甘かったのに、今は涙のしょっぱさが混じっている。

 荒々しく続く口付けに耐えようと幸雄さんのネルシャツをギュッと掴んだら、幸雄さんの大きな手が私の服の中に差し込まれ、直接肌を撫でられたから身体がビクッと跳ねると手が引き抜かれ、私の顔の横に手をついた。
< 149 / 162 >

この作品をシェア

pagetop