トールサイズ女子の恋【改稿】
◇第21章:決着
 青木印刷会社に訪れることになった月曜日の午前中、本来であればいつものように総務課の仕事をしている時間だけれど、今は1台のタクシーに乗って青木印刷会社に向かっている最中だ。

 総務課の皆さんから就業時間中に席を外すことに深く追求されずに済んだことにホッとしたのは高坂専務のお呼び出しということであり、 本来は理由を説明するべきだけど幸雄さんのことを話さなければならないし、私のせいで今後の雑誌が作れなくなってしまう危機があるので、ちゃんと話せないことに申し訳なさで一杯になる。

 今回私たちが青木印刷会社へ行く理由は、先週の木曜日の夜に行われた交流会で私のことをきっかけに幸雄さんは元彼と口論になり、お互い手を出して怪我を負い、騒動の後は青木印刷会社から取引を考えるとのことで、高坂専務からの提案で交流会にいたメンバー3人に私も同席してもう一度話し合うことになったのだ。

 タクシーの後部座席には奥から高坂専務と幸雄さんと私が座り、助手席には姫川編集長が座っていて、幸雄さんは眼鏡を修理に出したようで今日も眼鏡をかけておらず、口元のガーゼとテープは剥がされ、殴られた痕は紫色をしているから早く治ってほしいな。

 暫らくしてタクシーが青木印刷会社の入り口前に停まり、私はタクシーから降りると建物を見上げ、ここに勤めていた懐かしさもあるけれど今回は厳しいことを言われるだろうなと話し合いの状況を浮かべる。

「さっ、行こうか」

 高坂専務を先頭に建物に入り、受付をすまして話し合いの場所に向かう。
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