トールサイズ女子の恋【改稿】
 青木印刷会社の中を歩きながら周囲を見渡していると雰囲気は変わっていなく、機械室では社員が機械を動かして一生懸命に印刷を手掛けていたり、事務員たちがいる部屋も私がいた当時のままの雰囲気でいた。

「あれ?星野さんじゃない!元気にしてた?」
「こっちは星野さんがいなくて、寂しいよ」
「ご無沙汰しています、急に退職してすいませんでした」
「いつでも遊びにきて頂戴ね」

 私は退職をした事情を知らない事務員さんたちから次々に声をかけられ、温かい言葉に心が痛む。

「星野さんは、沢山の人に愛されてるね」
「はい、こんなに声をかけていただいて嬉しいです」

 高坂専務の言葉に微笑みながら返事をし、私たちは応接室に通されて下座の奥の席から高坂専務と姫川編集長と幸雄さんと私という順番で座り、ちゃんと冷静に相手の話を聞いてそれに対して答えられるかな?応接室に青木印刷会社の人たちが入ってくるまで、私だけが緊張して表情を固くなってきたのが自分でも分かる。

「おや、星野さんじゃないか」
「ご無沙汰してます」

 そして応接室に青木印刷会社の人たちが4人で入ってきて、口元には絆創膏が貼られた元彼と他の3人は以前の接待で会った人たちで、元上司に当たる部長が私に気付いたので私は会釈し、私たちは立ち上がって高坂専務が代表して口を開いた。

「お忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございます」
「此方こそ、わざわざきていただいて。どうかおかけください」
「失礼します」

 私たちは静かに椅子に座ると、青木印刷会社の人たちも座る。
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