トールサイズ女子の恋【改稿】
「はい。私事でこの場で申し上げるのは恐縮ですが、私は隣にいます星野美空さんと真剣にお付き合いさせて頂いてます」
「星野さん、そうなの？」
「はい…、水瀬さんと真剣にお付き合いさせて頂いてます」

　部長が驚くのは無理もなく、私たちの交際を堂々と明らかにした場所が前の職場で、しかもお世話になった人や四つ葉出版社の高坂専務たちの前で明かすとは想像してなかったけど、幸雄さんが元彼に手を挙げた理由は私にあるので交際を明らかにする方が伝わりやすいかもしれない。

「私のことを悪く言うのは構いません。交流会で２人で話している時に、そちらの方が先日の料亭で催しされた接待にて星野さんに関係を迫るようなことをしたのも知り、どうしても我慢が出来ませんでした。以上が、私が手を挙げた理由です」
「星野さんに迫ったというのは初耳だな」
「それは…」

　幸雄さんが手を挙げた事実を話して終わらせると、部長は元彼をどういうことかと見ているけれど元彼は真相を言おうとしない

「話に付け加えさせて頂きますが、私も先日の接待で席を外した時にそちらの方が星野に迫る場面に遭遇しています。交流会の会場で２人の口論を周りで見てた人もいるので、知り合いに警察関係がいますから調べて貰えば直ぐに話の内容が分かりますよ」
「此方は接待で星野さんに迫ったことは知らず、ましてや手を挙げられた理由を本人からは『話してたら急に殴られた』と、それしか聞いてないので、いやはや……何と申し上げればいいやら」

　高坂専務は淡々と話をしているけど、以前接待で助けて貰った時に見せたあの冷酷な表情を見せているからほんの少し背筋がゾクっとする。

　そして部長は困惑しながら頭を掻いていて、私は元彼は自分が私のことを侮辱した話や接待で迫った話を部長には言わなかったんだと知ると段々と腹立たしくなってきた。

　私は何でこんな人と付き合っていたんだろうか、でも私も…、私も元彼と付き合っていて恋に夢中で相手の中身を見ずにいたことには反省すべきで、それに幸雄さんはトールサイズ女子の私を見た目じゃなくて私自身を受け止めてくれたから、一緒に並んで歩こうとする恋人が幸雄さんで本当に良かったと思う。
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