トールサイズ女子の恋【改稿】
「どうやら、これで決まりだな」

 ずっと黙って話を聞いていた姫川編集長が初めて口を開き、この件が終わりに向かおうとしているのが分かった。

「この度は四つ葉さんを誤解して、大変申し訳ない。本人には強く指導しますので、後日改めて私共から伺わせて下さい」
「部長!待ってくだ―…」
「いい加減にしないか!!」
「……っ…」

 部長は元彼を一喝し、元彼は苦虫を噛み潰すように黙りこんだ。

「星野さん、今回は申し訳ないことをさせてしまったね。辛い思いもしただろう」
「いいえ…。私のことで今回は部長を初め、沢山の方にご迷惑をおかけしました。私は四つ葉で大切な人に出会えることが出来て、そして支えて頂ける人もいて恵まれ過ぎてます」
「……」

 私は幸雄さんと高坂専務と姫川編集長を見つめながら微笑むと、幸雄さんも私の顔を見て黙って微笑んだ。

「此れからも私共の雑誌を青木さんにお任せしたいので、よろしくお願いします」
「此方こそ!最高の雑誌を刷らせていただきます」

 高坂専務と部長が堅く握手をする光景をみて、此れでやっと全てが終わるんだと、接待から交流会まで色々あったことがようやく終わるんだ!

「では、私たちは此れで失礼します。皆、行くよ」
「はい。部長、失礼します」

 高坂専務の号令で立ち上がって部長たちに向かって頭を下げ、高坂専務が先に応接室から出ようと歩き、その後を姫川編集長、幸雄さんが続き、私は部長に向いてお辞儀をして振り返って歩こうとしたら急に元彼に左腕を掴まれた。

「待てよ!俺はお前を諦めた訳じゃない」
「な、何をするの?」

 やっと終わってホッと出来るかと思ってたのに、元彼はまた絡んでくるし!元彼はこのしつこさを自分ではわかってないのかな?

「おい、やめ―…」


 ――パンッ!!


 幸雄さんが元彼を止めようとした時、応接室に乾いた音が響いた。
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