トールサイズ女子の恋【改稿】
 幸雄さんとはK駅の改札口を出た場所で待ち合わせをしていて、時間がぎりぎりになったかもと急いでK駅の改札口に向かうと既に幸雄さんがいた。

「お待たせしました」
「そんなに待ってないよ。じゃあ、行こうか?」
「はい!私が案内します」

 幸雄さんはそう言うものの頬が寒さで赤くなっているのが分かるから、コーディネートに時間をかけちゃったのを後悔した。

 今日の幸雄さんの服装は黒コートを羽織っているからトップスはどんなのを着ているか分からず、首にはギンガムチェック柄のマフラー、ボトムはジーンズという組み合わせで眼鏡は修理から戻った愛用のチェック柄で、元彼に殴られた口元の怪我も痕もすっかり治り、相変わらず格好いいなぁと頬が緩む。

「幸雄さん、カレー屋さんに行く前に書店へ立ち寄ってもいいですか?最新の『Clover』を買いたいんです」
「俺に頼めば見本誌を渡すのに、わざわざ買うの?」
「幸雄さんがこの雑誌を担当しているんですから、大好きな人が作っているのに見本誌で済ますなんてバチが当たっちゃいます」
「……ありがとう」

 幸雄さんは最初はやや呆れ気味でいたけど、私が買う理由を聞いて幸雄さんは目を細めながら照れて頬をポリポリと掻き、私たちは書店に入ると目的の棚へ向かい、沢山の女性雑誌が並べられている中で『Clover』を見つけて早速レジへ向かった。

 お会計を済ませて書店から出てスペード街を歩くけど、今日は休日だし年末に差し掛かっているから通りは沢山の人が行き交っているからはぐれないように手を強く握ると、そういえば幸雄さんと付き合う前にディナーへ行く途中で初めて手を繋いだけど、あの時は転びそうになった所を助けて貰って…、そこから少しずつ幸雄さんを意識するようになった。
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