トールサイズ女子の恋【改稿】
 総務課に入ると仕事の準備を始めて1日の流れのミーティングをしていると、私の机の上にある電話機が鳴ったので受話器を取った。

『こんにちわ、藍山郵便局です。郵便をお持ちしました』
「かしこまりました、今ロビーに向かいます」

 私は受話器を置いてロビーに向かうと郵便配達の人がいたので、大量の郵便物を受け取って受領のサインをしてから総務課に戻り、高坂専務宛やそれぞれの部署ごとに分けていく。

「タウン情報部姫川様…、あのモジャモジャの髪の毛の人だよね。此方はスポーツ部で、此れはファッション部宛か…」

 ファッション部宛の郵便物は封筒が数十枚あれば、葉書が数百枚あるので輪ゴムで束ねておこう。

 配る順番を考えて3階から回るのが効率がよさそうなので、郵便物を抱えてまずは3階に移動すると、高坂専務宛の郵便物を渡すために専務室のドアをノックした。

「どーぞー」
「失礼します。高坂専務宛の郵便物をお持ちしました」

 ドアを開けると秘書の人は席を外してるのか専務室にはいなく、高坂専務はノートパソコンの側にある大量の書類とファイルに囲まれながら仕事をしていた。

「ありがとう。そっちの秘書の机に置いてくれるかな?」
「はい、かしこまりました」
「ここの仕事は慣れた?」

 私は郵便物を机に置くと、高坂専務はパソコンの画面を見ながら聞いてくる。

「徐々に慣れてきました。総務課の皆さんも優しい人ばかりなので、馴染んでいます」
「そっか。他の社員にイイ奴いるし、仲良くしてね」
「……はい、失礼します」
「ん」

 高坂専務から他の社員と言われた時、何故かまた水瀬編集長の顔が浮かんだ。

 総務課以外に社員の顔が分かるのは水瀬編集長くらいだし、浮かんだのはきっとそうに違いないよね。
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