トールサイズ女子の恋【改稿】
 専務室から出て階段を使って2階に移動し、ICカードを使って編集部のフロアに入ると社員の人たちが慌ただしく駆け回っている。

 私は邪魔にならないようにそ~っと歩いてタウン情報部に向かうと、タウン情報部のスペースは小さくて一人の女性が仕事をしていた。

「すいません、タウン情報部の姫川さん宛の郵便物をお持ちしました」
「ありがとうございます」

 私に気づいた女性は立ち上がって郵便物を受け取るけど、何だか顔色が優れない。

「あの、何処か具合でも悪いですか?」
「ずっと徹夜が続いてて…」
「他の社員はいないんですか?」
「タウン情報部は、私と姫川編集長の2人しかいないんですよ」

 女性は苦笑まじりで言うけど、本当に大丈夫かな?

「総務課に薬があるので、もし体調悪くなりましたらいつでも来てくださいね」
「ありがとうございます」

 私はタウン情報部からスポーツ部に移動して郵便物を渡し、最後にファッション部のスペースに来てみると、ファッション部はパソコンで仕事をしている人や電話をしている人もいるけれど水瀬編集長の姿は…、ない。

 話しかけても大丈夫な人はいるかなと、話しかけるタイミングを計っていたら電話を終えた男性と目が合った。

「お忙しいところをすいません。ファッション部宛の郵便物をお持ちしました」
「ありがとう、全部預かるね。これがアンケートの葉書で、これが取材に使う写真が入った奴で…、あとは編集長宛の物かな。うん、他の部署の物は混じってないね。ありがとう」
「はい、失礼します」

 私はファッション部の郵便物を渡すと、編集部のフロアを出た。

 水瀬編集長の姿は無かったからランチに行くのは大丈夫かな?忙しい人だしタイミングが難しいのであれば、ランチじゃなくてお菓子の差し入れにしようっと。
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