トールサイズ女子の恋【改稿】
　水瀬編集長が来るまでにメイクは変になってないよね、と化粧室で確認して、服装もロビーの窓ガラスに写るのを利用してコーディネートの確認する。

　くるくると体をひねっておかしくないよねって何度も確認してたら、窓ガラスに写った水瀬編集長の姿があったので思いっきり振り返った。

「水瀬編集長、お疲れ様です。いたなら声をかけて下さい」
「ごめん、ごめん」

　水瀬編集長はくすくすと笑っているから、かなり恥ずかしくて顔が一気に真っ赤になるのが分かって、両手でぱたぱたと顔を扇いだ。

「それじゃあ、食べに行こうか？」
「はい……」

　私たちは四つ葉出版社を出て通りを歩きながら水瀬編集長をちらっと見ると、水瀬編集長の服装は黒ジャケットに白シャツ・黒パンツとどれもきちんと感があり、さすがお洒落な人だよなぁ。

　ファッション部というだけあって身に付けている服飾の小物は控え目なデザインだけれど、ちょっとしたアクセントになっていたり、自分の服装は大丈夫かなと内心ドキドキしている。

「星野さんの服、いいね」
「そうですか？シンプルすぎるコーディネートで、おかしくないですか？」
「おかしくないよ。似合ってるし、可愛い」
「ありがと…う、ございます。ファッション部の編集長にそう仰っていただけるの、とても嬉しいです」
「そっか」

　水瀬編集長は目を細めて、にこやかに微笑む。

　お世辞でも似合ってると言われるは分かっているけれど、凄く嬉しくて頬がにやけるのを必死に堪えた。
< 30 / 162 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop