トールサイズ女子の恋【改稿】

　そしてそれぞれの前に定食が置かれ、水瀬編集長が頼んだ鶏の唐揚げはレモンが添えられ、小鉢には白菜と人参の漬物、ご飯にお味噌汁という組み合わせで、私が頼んだ魚の定食はお刺身がメインで赤身と鯵、その他は水瀬編集長と同じ組み合わせだ。

「いただきます」

　２人で手を合わせて一口食べると新鮮な赤身はとても美味しくて、いつもスーパーで購入する物と鮮度が全く違う。

「このお刺身、とても美味しいです」
「ありがとうございます。姫川さんのお知り合いに漁師さんがいて、活きのいいものを卸してもらってるんですよ」
「とても新鮮だし、スーパーで買うのが食べれなくなりそうです。水瀬編集長の唐揚げはどうですか？」
「うん。揚げたてだから、熱々で美味しいよ」

　水瀬編集長も唐揚げを頬張って定食の美味しさに喜んでいるから、また来たいなって思うのは私だけかな？

「ご馳走さまでした。お勘定お願いします」
「はい、お待ちください」
「待って」

　定食は美味しくてあっという間に食べ終わり、私はミニバックに入れたお財布を取り出してお会計をしようとしたら、水瀬編集長の手がお財布の上に乗った。

「此処は俺が払うから」
「でも、昨日のお礼が……」

　お礼をしたいと言い出したのは私だから此処は私が支払うのが常識なのに、水瀬編集長は頑として手をどけない。

「俺の要望を聞いてくれたお礼だから、ねっ？」

　水瀬編集長は顔を傾けてお願いする仕草に、私はそんな顔してずるい…と内心呟いた。

「お言葉に甘えて……」
「うん。じゃあ改めて、お勘定お願いします」
「はい、お会計はこちらで」

　水瀬編集長は立ち上がって、レジに向かう。

　私って優しくされてばかりだな…と、そう思いながらお会計が終わるのを待ったのだった。