トールサイズ女子の恋【改稿】
 次のアンケートは恋愛についてで、行ってみたいデートの場所、告白されるならどんな場所が理想なのか、相手の何処を重視するのか、理想の恋愛はあるのかの質問。

「理想の恋愛、か…」

 今までの恋愛を思い返してみるとこの高い身長で振られてきたので、理想の恋愛といえば『これだ』と思って、アンケートの解答欄に指を置いてキーボード画面を開く。

「『私の理想の恋愛は、私は身長が174センチもあって高いから、私の身長を気にしない人と付き合いたいです』と……」

 全てのアンケートに解答して送信ボタンを押したら、一瞬だけ木村さんの言葉が浮かんだ。

『僕は…、星野さんの身長は気にしてないですよ?』

 今までこの身長のせいで相手に振られてきたので、まさかそんな事を言われるとは思ってなくて。

 これを水瀬編集長から言われたら…って、さっきからことある毎に水瀬編集長の顔が浮かぶ。

 まだ片手で数えるくらいしか会ってないけれど、歓迎会の帰りを誘われた時に見せた真剣な顔、照れた顔、ランチあとの困った顔が浮かんできた。

「水瀬編集長は背が高い女はどう思っているのかな」

 私が隣に歩いてると見上げる形だし、周りにも私たちはアンバランスに見えてるよね。

 それに…もし"あの言葉"を水瀬編集長から言われたらと思うと胸の奥がざわざわとしてきて、私は枕をギュッと抱きしめて瞼も固く閉じ、ざわつく気持ちを落ち着かせなきゃ。

 私の理想の恋愛なんて現実じゃ難しいよ…、とそう思いながら意識を手離して眠りについた。
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