トールサイズ女子の恋【改稿】
 お昼ご飯を食べ終えて、午後は会議室の掃除だ。

「布巾は給湯室にあるから、それを使ってね。鍵はこれ」
「ありがとうございます。でわ、使ってない会議室から掃除をしてきます」

 私は会議室の鍵を木村さんから借りて、給湯室に向かった。

 そこには小さなキッチンスペースがあり、布巾2枚を水で濡らして絞って、ゴミが出た時用のごみ袋を数枚用意して3階へ移動した。

「此くらい準備しておけば、掃除もしやすいかな」

 会議室の1つはドアの表に使用中の札があるので、ここは一番最後に掃除をしよう。

 未使用の会議室の鍵を使って中に入ると部屋が小さいから机や椅子の数も少ないし、ここの掃除は楽かも。

 窓を開けて換気をすると風が入ってきて髪がふわりと揺れ、天気もいいし気分転換したいなぁ。

 ずっとアパートと会社の往復だけだし、何処かに立ち寄ってみたら気分転換になるだろうし、お一人様が長いと仕事の後の時間をどうやって過ごすかが問題で、身体を動かしたり、家庭的な子を目指すなら料理の習い事でも始めてみるかな。

 濡らした布巾で机を拭いてゴミ箱の袋を取り替え、椅子も等間隔に並べ、次は別の会議室の掃除だ。

 すると会議室のドアがノックされたのでドアを開けると、そこにランチ以来会っていなかった水瀬編集長がいたのでドキッとする。

 たった2週間ぐらいなのに、顔を見れるだけでも嬉しいと思っている自分がいた。

「掃除は終わりそう?この会議室を使いたくて総務課に行ったら、掃除してるって聞いてさ。鍵も俺が預かってもいいって」
「もう終わりましたので、どうぞ…」

 水瀬編集長に会議室の鍵を渡すと、水瀬編集長は鍵をジャケットのポケットにしまう。
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