トールサイズ女子の恋【改稿】
「あのさ、星野さんは今夜は予定ある？ないなら、何処かで食事でも行かない？」
「特にはないですけど、編集部の人たちも来るんですか？」
「いいや、俺と星野さんだけ」
「私だけですか？！」
「そっ」

　水瀬編集長はにこりとするけど、突然のディナーのお誘いに驚く。

「えっと…」
「もしかして、他に食べる人がいるとか？」

　私が返事に詰まっていたら水瀬編集長は行く人がいるのか探ろうとしてるけど、一緒に食べる人なんていない。

　水瀬編集長とまた食事をすることが出来るなら、他の人よりもそっちがいいもの。

「是非、お願いします」
「良かった。星野さんは仕事が終わったら、Ｓ駅で待っていて欲しい。なるべく早く行けるようにするから、またスマホにメールするよ」
「はい。連絡、待ってます」
「また後でね」
「また…」

　私は会議室を出て掃除をしていない別の会議室に入ると、水瀬編集長とのやり取りを振り返る。

　水瀬編集長は良かったと言った時、すごくほっとしていた表情をしてたけど、一緒に食事にいく人なんて元彼と別れてからここ最近はなかったし、まさか食事に誘われるなんて思ってもいなかった。

　以前のランチには行く理由があったけど、今回は何故誘ってきたんだろうか？と掃除をしながら誘われた理由を考えるけれど、水瀬編集長から誘われたというのが嬉しくて、顔がずっとにやけているのが自分でも分かるから、この場に１人というのが良かったかも。

　今日の服装も大丈夫かな、なんて考えるだけでも楽しくて、この後のディナーが本当に楽しみになってきた。
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