トールサイズ女子の恋【改稿】
 冷たい飲み物が入ったグラスに差しているストローを、何度もグラスの中で回して時間を潰す。

 溶けてしまった氷水を飲んで視線を下に落としていたら、カウンター席の前にあるガラスをコンコンとノックした音が聞こえたので、パッと顔を上げると水瀬編集長が立っていたので、私は来てくれたと嬉しくて自然と笑みを浮かべる。

 『今からそっちにいきます』と口パクと指で外を出る仕草をして、急いでグラスを返却してカフェを出た。

「遅れてごめん。かなり待たせたよね」
「いいえ。この位でしたら大丈夫ですよ」
「でもさ…」
「じゃあ…、美味しいお酒を奢ってくれますか?場所は水瀬編集長にお任せします」
「それなら任せて、お勧めな場所があるから。先ずは駅を出よう」

 私たちはS駅の改札を出て駅前通りを歩くんだけれど、ランチの時のように私が左で水瀬編集長は右の並びで歩く。

 駅前通りは時間的に仕事帰りの人たちが多いから水瀬編集長とはぐれないように気を付けくちゃと思うけど、人を避けながら進むのって大変かも。

 すると向かいからスーツ姿の集団がきたのでぶつからないように避けると、その拍子に足をひねってバランスを崩して体が傾く。

「きゃっ」

 地面にぶつかる!!って思って、私は目をギュッとつぶる。
< 44 / 162 >

この作品をシェア

pagetop