トールサイズ女子の恋【改稿】
　此から水瀬編集長と食事だっていうときに、地面にぶつけるなんて最悪。。。あれ？

「いた―…く、ない？」
「星野さん、怪我はない？」

　バランスを崩した私が地面にぶつからないように腕を掴んで支えてくれたのは水瀬編集長で、そういえばこういうシチュエーションって女子の憧れであったよね。

　確か女の子がピンチになったところを気になる男性がサッと助けてくれる場面があって、その時の男性の周りにはキラキラと星が輝いているのが見えるという…少女漫画で出てくるベタなシチュエーション。

　今がまさにそれで、水瀬編集長の周りにキラキラと星が輝いて、より水瀬編集長が素敵に見えるから、一気に鼓動が早くなる。

「すみ…、あっ、ありがとうございます」
「ううん、怪我をしなくて良かったよ。危ないから、こうしようか？」
「えっと…」

　水瀬編集長とランチをしていた時に、すみませんよりありがとうがいいなって言っていたから慌てて訂正してお礼を言うと、水瀬編集長は右腕を掴んだ手を離して私の右手を左手でギュッと握った。

「嫌なら、ほどいていいよ？」
「嫌じゃ…、ないです」

　水瀬編集長が私を試すような表情で見上げるから、内心ズルいと呟いて、嫌じゃないことを示す為に顔を左右に振る。

「俺のこと、ズルいと思ったでしょ？」
「少しは…」
「男はズルくする時もあるんだよ」

　私の手を握る力が込められて余計に鼓動が早くなってきて、今の私は絶対顔が赤くなってるに違いないよ。

「お店に行こう」
「は…い…」

　返事をするのも精一杯で、また歩きだすと車が通り過ぎ、ライトで水瀬編集長の耳がほんの少しだけ紅くなっていたように見えた。
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