トールサイズ女子の恋【改稿】
「星野さん？」
「あっ、えっと……、私がこういう身長だから小柄の女性って羨ましいなぁって。フラれる原因が私の身長が高いから、どうしてもそこが気になっちゃうんですよね」

　あははって小さく笑って悲しくなってくるけど、其れが事実だもの。

「………俺は背が高くても気にならないよ？」

　するとカウンターに置いてる私の手を包むように水瀬編集長の大きくて温かい手が重ねてくるから、悲しかった気持ちが和らいで、泣きそうになるのを堪える。

　以前木村さんに言われた言葉に似ているけど、それとは全く違う気持ちでいるのは、水瀬編集長に言われたからこそ心の底から胸が高鳴り、私の中でどんどん水瀬編集長の存在が大きくなるのが分かった。

「えっと…、あの…」

　どうしよう…、ありがとうございますと言いたいのに言葉がうまく出なくて焦る。

　今まで失恋してきた時に言われた言葉じゃないから、なんて反応すればいいんだろう。

「お手洗いに行ってくる」
「は、はい」

　水瀬編集長は重ねた手をパッと離してポケットからスマホをカウンターに置くと、Barの奥に向かって行った。

　うう…、思いがけない言葉にまだ胸が高鳴っているから落ち着かせなきゃ。

「すいません、お水をください」
「どうぞ」

　三斗さんからお水をもらいグイッと飲むけど、まだ顔が熱くて手でぱたぱたと扇いで、この顔の熱さを冷ます。
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