トールサイズ女子の恋【改稿】
　在庫室でもぼんやりしたり、チェックが終わるのもいつもより時間が掛かっちゃって、何だか仕事に身が入らないや。

　総務課に戻ってパソコンの電源を入れて発注する備品の数値を入力していると、総務課のドアがノックされて入ってきたのは水瀬編集長で、つかつかと課長の元に歩く。

「広い会議室の鍵を貸して下さい」
「ちょっと待って下さいね、はいどうぞ」
「ありがとうございます」

　課長は引き出しから鍵を取り出して水瀬編集長に渡すと、水瀬編集長と視線が合ったのでお互い軽く会釈した。

　水瀬編集長は何か言いたげな表情をしていて昨日のことかなと思うけど、そのことはあまり思い出したくなくて、私は顔をパソコンの画面に向けて数字キーを打ちこんだ。

「送信っと」

　メールに発注ファイルを添付してボタンを押して、次に木村さんが担当する仕事のサポートをするんだけど、聞き慣れない専門用語が多く出てくるので説明をしてもらう。

　頭の中が聞きなれない専門用語の言葉で一杯になって風船のように破裂しそうで、頭を抱える。

　それに木村さんが机の上に置いているバインダーの数も多いし、終えるまでには相当な時間がかかりそうだなぁ。

　でも今は仕事をしている方が他のことを考えなくて済むだろうから、バインダーに挟まれてる資料を見ながらパソコンに入力し始めた。
< 55 / 162 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop