トールサイズ女子の恋【改稿】
「あれ、2人は残業なの?」
「木村さんのお手伝いをしていて、こんな時間になっただけです」
「そう…、会議室の鍵を返しにきたんだけど課長は?」
「課長は接待で先に帰りましたので、僕が鍵を預かります」
「分かった」

 水瀬編集長はピリピリとしたオーラを出しながら木村さんをキッと睨み、ポケットから鍵を取り出して木村さんに渡すと総務課を出ていき、木村さんは鍵を課長の引き出しを開けて中に鍵を入れて閉めた。

「水瀬編集長、機嫌が悪そうだったね」
「うーん、仕事が忙しいんじゃないですかね」

 口ではそう言ったけど、内心は昨日の水瀬編集長との会話を思い出していた。

『木村と仲が良いよね』
『木村さんとは、仕事を教えてもらっているだけです』

 木村さんには同僚としてみてるし、正直なことを言ったんだからあんな表情をされてもな。

 それに水瀬編集長だって彼女いるのに私を食事に誘ったり手を握ったり、そっちの方が意味不明だよ…と心の中で突っ込みをする。
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