トールサイズ女子の恋【改稿】
 午後になり、私は在庫室の掃除を始める前に服が汚れるといけないからジャケットは脱いで総務課の席に置いてきた。

「まだ追加発注しなくてもいい量の備品は奥に置くとして、発注が多い備品はチェックしやすいように棚に置く位置を変えてみてはどうかな?」

 私が備品の発注を任せてもらうようになって数週間が過ぎ、どの備品が発注多いのかを把握できるようになってきた。

 発注の多い少ない備品が在庫室のいたるところに点在しているので、今後のチェックのしやすさを含めながら頭の中で配置替えのシュミレーションを考えると大規模な模様替えになるし、先ずは棚の高い所にある段ボールを降ろして在庫室の隅に積み置いて、棚を雑巾で汚れを拭く。

「うわ…、すごい汚れ。ゴホッ、ケホ…」

 在庫室の空気も悪くて咳も出てきたので、窓をガラッと開けて空気を入れ替えて、新鮮な空気を思いっきり吸い込む。

 棚を拭いた後の雑巾には汚れが沢山付着していて、在庫室の棚はあまり掃除をしていなかったんだ……。

 汚れが着きすぎた雑巾を給湯室で洗い流してまた在庫室の掃除を繰り返し、棚を拭き終えた後は備品チェックをしやすいようにと、あれこれ試しながら備品の位置や段ボールを置いてみる。

「この雑誌、どうしようかな」

 水瀬編集長が在庫室に置いたファッション部で使う雑誌が数十冊あるので奥にしまう訳にもいかないし、取り出しやすいようにと手前に置いたほうがいいかもしれないよね。

 雑誌を取りに来た時に場所が変わっていたら戸惑うし、後で在庫室を整理したことを水瀬編集長に伝えなくちゃと考えていると在庫室のドアがノックされた。

「はい、どうぞ」

 返事をすると入ってきたのは水瀬編集長で、この荒れた在庫室の有様を見て若干引き気味になっている。
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