トールサイズ女子の恋【改稿】
「凄いことになってるね」
「え―っと…、模様替えをしてるんですよ。備品のチェックをしやすくといいますか…」

 ついさっき自分のミスで経理課の部長に怒られたんですとは言えず、チェックをしやすくしたいのは本当だから、それしか言わなかった。

「1人でやれそう?」
「後は棚に戻すだけなので、大丈夫です。それと雑誌の位置を変えたので、今後はこの棚からお取りください」
「うん、分かった。丁度その雑誌を使いたいところだから、もらってもいい?」
「分かりました、どうぞ」

 水瀬編集長に雑誌を渡して別の段ボールを持ち上げて棚の一番上に置こうしたら、段ボールのバランスが崩れて私の方に落ちてくるから、これってかなりまずいかも。

「危ない!」
「きゃっ」

 私は身体が急に右側に引っ張られ、水瀬編集長を押し倒しているような姿勢で床に座りこんだ。

 でも水瀬編集長が下にいてくれたおかげで強い衝撃に遭うことがなく、足元の傍に棚から落ちた段ボールと雑誌が散乱している。

「怪我は無い?」
「はい…、ゲホッ…、だいじょ…ゴホ…、です」

 私たちの周りに埃が舞い上がっていたので少しだけ咳き込みをしながら返事をし、気分を落ち着かせようと唾を飲むんだけど、まだ心臓の鼓動が激しく動く。
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