トールサイズ女子の恋【改稿】
【Bar Jewelries】で飲みはじめて数時間、仁さんはお手洗いに行くために席を外して、姫川編集長はスマホにかかってきた電話の相手をするために一旦外に出たので、カウンターには私と高坂専務の２人きり。

「いつの間にか水瀬と星野さんが仲が良くなっていたとは、気付かなかったな」
「仲が良い―…、ですかね？三斗さん、新しいのをください」
「美空ちゃん、大丈夫？結構、飲んでるよ」
「まだまだ飲めますよ」

　これで何杯目のおかわりなのか分かんなくて、高坂専務はこんな私を見て苦笑している。

「そんなに飲んじゃって、水瀬と何かあった？」
「あったというか―…、私は水瀬編集長が一体何を考えているか、よく分かりません。私、はっきりしてくれないと不安なんです！こっちは超能力者でもないし、何を考えて手を握ってきたのか、彼女だっているのに食事に誘ってきたり…」
「ちょ、ちょっと待った。水瀬に彼女がいるって、何？！」
「どうしたの？」

　私がお酒の勢いで水瀬編集長に彼女がいるって言うと、高坂専務がそれは初めて聞いたような反応をし、お手洗いに行っていた仁さんがカウンター席に戻ってきた。

「ねぇ、水瀬に彼女がいるのって知ってた？俺は知らなかったんだけど」
「…………知らない」

　仁さんは間をおいて首をかしげると、外に出ていた姫川編集長が戻ってきた。

「あー、話が長すぎた」
「ねぇ、姫川は水瀬に彼女がいるなんて知ってた？」
「俺は知らねぇぞ」

　高坂専務の質問に姫川編集長も仁さんと同じような反応で、水瀬編集長に彼女がいるなんて誰も知らなかったんだ……、そうすると話の流れとはいえ水瀬編集長に彼女がいますって言ってしまって、水瀬編集長に申し訳ないことをしちゃたな。
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