トールサイズ女子の恋【改稿】
「タクシー、呼んだ」
「さっすがぁ姫川、頼りになるね。星野さん、行ってきな」
「でも…」
「さっさと行けよ、ビールだって飲めやしねぇ」
「キツイ言い方、しないで下さい！」

　高坂専務はとーっても優しいのに姫川編集長はこうも口調がキツイんだろうか、絶対に姫川編集長は彼女が出来ないと思う。

「姫川は元々こういう奴だから」
「仁の言う通りだよ。ほら、タクシーが来てると思うから行ってきな」

　高坂専務が私の背中を、優しくポンッと叩いた。

「あの、私が飲んだ分のお支払いを」
「いいって、星野さんの涙で免除するから。ねっ、三斗さん」
「そうですね。美空ちゃん、頑張れ」
「はい！」
「うん、いい返事」

　高坂専務たちの励ましと応援に会いに行く気持ちが固まり、私はお辞儀してバックを手にしてBarを出ていくと１台のタクシーが停まっていて、後部座席のドアが開いたので乗り込んだ。

「すいません、四つ葉出版社までお願いします。住所は―…」

　運転手がナビゲーターに住所を打ち込むとタクシーを発進させ、普段電車で四つ葉出版社に行くからタクシーから見える外の景色はとても新鮮で、その景色に見入ってしまう。

　彼女がいて叶わない想いでも、高坂専務たちが背中を押してくれたから、ちゃんと会って気持ちに踏ん切りをつけなきゃ。

　そして…、タクシーは四つ葉出版社の前に停車した。
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