トールサイズ女子の恋【改稿】
 四つ葉出版社に入ってからは、普段飲むメンバーが決まっている。

 俺よりも先に四つ葉出版社にアルバイトから入り今はタウン情報部の編集長までに昇りつめた姫川で、もう一人は俺と同期入社でいつも物静かだけど本を作ることに関しては情熱と信念をもつ仁で、そして俺たち3人より3つ年上の専務である高坂専務だ。

 いつも4人で飲む時は【Bar Jewelries】に集まって本の話やそれぞれの好きな分野の話で盛り上がるのが多くて、他に何を話すかといえばそこは男なので女性関係の話になるので、それぞれ恋愛の拘りがあってまた盛り上がる。

 この日はお酒が進んで、俺たちは理想の女性について話をした。

「女はどうして理想を高く持つのか、よく分からん」
「男としては妥協されたらプライドが傷つく……」
「水瀬も理想があるの?」
「ありますよ。背が高くて、こんな身長の低い俺でも隣に並びたいって言ってくれる人ですかね」
「お前って変わってんな」
「………ふーん」
「水瀬らしいというか、こだわりあっていいじゃん」

 高坂専務に自分の理想の女性のタイプを聞かれたので答えると、3人は好き勝手に言うし……、普段から口数少ない仁だけならともかく、こんな反応されちゃうと背が低い奴の気持ちは高い奴には伝わらないもんな。

 俺はカクテルを一気に飲み干して、理想のタイプを話したことに後悔した。

 暫らくして飲み過ぎた高坂専務と姫川をタクシーに乗せて、仁と歩いて駅に向かう。

「俺は水瀬の理想の人が現れるといいなって思う」
「ありがと。現れたらいいけど、どうなんだろうね」

 自分の前に理想の人が現れるなんて大部先というか年を重ねても現れないんじゃないかって、まだこの時はそう思ってた。
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