トールサイズ女子の恋【改稿】
 それからは星野さんのことが気になっている自分がいて、星野さんが同じ編集部ならフロアも一緒で話しかけるチャンスが多いかもしれないけれど、所属しているのは総務課だ。

 顔を合わすとなれば郵便物の配布で編集部に訪れる時とかだし、何か話が出来るきっかけがあればいいんだけれど……、直ぐに転機がやってきた。

 俺は『Clover』のバックナンバーを在庫室に取りに行こうと向かったら、部屋の明かりがついていることに気づいたので中に入ってみると、星野さんが在庫室でスマホを探していので手伝い、やがてスマホが見つかって安心する星野さんが可愛いなと思って頭をぽんぽんとした。

 我ながら大胆なことをしたけど、星野さんの髪の毛はさらさらとしていて触れた感触が手に暫く残っていた。

 スマホを探したお礼をしたいと言う星野さんに俺はチャンスだと思ってランチに誘い、当日の朝に自分の部屋にあるクローゼットを開けて、どんな服を着ていこうかなんて思ったのはいつ振りだろう、もしかしたら初めてかもしれない。

 仮にもファッション部の編集長なので普段から服装には気を使ってるが、今回は接待とは違うし、気になっている女性との食事だから、結局は無難なジャケットとの組み合わせになった。
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