トールサイズ女子の恋【改稿】
　姫川に教えてもらった定食屋のランチはとても美味しくて星野さんも大満足にしていたから、あとで姫川にお礼を伝えなきゃな。

　俺たちを包む空気はとても温かくてもっと星野さんと何処かに出掛けたいなと思うようになったけれど、それはすぐに消えてしまう出来事があった。

　それは俺たちがランチから帰ってきた時に四つ葉のビルの前で姫川と血の気が引いて青ざめている九条がいて、俺はタクシーを呼んで九条を病院まで行かせて姫川に手伝いを申し出たら、姫川は顎を使って星野さんの指す。

「（俺より）先ずは気にすることがあるんじゃねえの？」
「あっ…」

　星野さんはとても悲しそうな表情でいて、折角良い雰囲気になれたのを壊してしまったような気がした。

　またある日、俺が在庫室のドアを開けようとしたら星野さんと総務課の木村の声が聞こえたので、ドアノブに手をかけていたのを外して中の会話を聞く。

『男の人って女性が低い方がいいですよね』
『僕は星野さんの身長を気にしてないよ』

　俺は２人の会話を聞いて木村は星野さんに気があるんじゃないかと勘づいて、ふと２人が並ぶのを想像してみると、木村は俺と星野さんよりも背が高く、星野さんと隣に並んだらバランスが良くみれるかもしれない。

　理想の身長差だな…、そう想像したら何だかムカムカとしてきたのと、折角自分の理想だと思える人に出会えたのに離れていくんじゃないかと思うと、星野さんに木村なんかじゃなくてもっと俺を見て欲しいと強く思うようになった。
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