トールサイズ女子の恋【改稿】
 星野さんをディナーに誘ったのは、木村のことをどう思ってるのか知りたかったからだ。

 次から次へと雑誌の進行が舞い込んでくるので星野さんを待たせ過ぎてはいけないと思い、大急ぎで業務をこなすけど結局40分も待たせてしまって、誘った方としては情けないな。

 星野さんが待っているカフェに行くと、遅れた俺を見ても怒らずにニコリと微笑んでくれたのが嬉しくて心の中が温かくなった。

 食事をするための店に向かう途中、歩行者をよけてバランスを崩して転びそうになった星野さんの腕を咄嗟に掴み、服越しだけれど掴んだ星野さんの腕は細くて背が高くても女性なんだと改めて思う。

 俺はこのまま離したら駄目だと思って、改めて左手で星野さんの右手を握りなおした。

「嫌ならほどいていいよ?」

 星野さんの心に俺を残したくて狡い言い方をしたけど、内心は心臓が口から飛び出るんじゃないかドキドキしていたけれど、星野さんは黙って顔を左右に振って俺の手を離さないでくれた。

 あ―…顔が熱いなと、俺は自分でも顔が真っ赤になっているのが分かるから、星野さんに気づかれないように前を歩く。

 イタリア料理のお店ではお互い色んな話をしながら楽しめたけど、これで終わりなのは寂しいし、いきつけの【Bar Jewelries】に連れて行こうと提案したら、星野さんもBarに行くのを賛成してくれてまた手を繋いで歩く。

 前は身長差について考えていたけれど自然と歩けてるから、此れからも俺の隣を並んで歩いてくれる人は星野さんがいいと、俺の心には星野さんの存在がだんだんと大きくなっていた。
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