トールサイズ女子の恋【改稿】
 やっぱり星野さんも今まで思いを寄せていた女性と同じ様に背が高い奴の方がいいのだろうかと思うと胸がざわついてきて、仕事をしていてもまだ心がモヤモヤしていて気持ち悪い。

「ちょっと席を外ずね」
「はい」

 気分を換えたくて編集部を出て廊下の端にくると、スマホを取り出して星野さんの連絡先を表示させ、今は何をしてるんだろうか、また木村と2人きりになっていないだろうかと考えれば考える程、自分の心の中に星野さんのことが広がっていく。

「先ずは仕事をこなしてから考えよう」

 俺は編集部に戻り特集に取り上げる企画書を読むと、どれも読者に好評の企画があればまだ掲載するには見送った方がいい物もあり、『Clover』をもっと読んで貰うにはどうしたらいいか、過去の雑誌を読み直してアイディアを練ろうと在庫室に向かった。

 そこで偶然在庫室で片付け中の星野さんに会い、落ちてきた段ボールから星野さんを助けたくて、自分の所に抱き寄せて座り込んだ。

 抱きしめていると自分の鼻腔に星野さんのシャンプーの香りが擽って、もっと星野さんを感じたくて抱き締める力を強くすると星野さんも俺の背中に腕を回し、この時の俺は星野さんのことを好きだと自覚した。

「暫く抱き締めてもいい?」

 星野さんの耳元で精一杯の気持ちを告げると、星野さんに「だ、駄目です!」と急に突き飛ばされ眼鏡がずり落ちり、星野さんは慌てて在庫室を出ていった。

 何なんだよ…向こうだって抱き締めてきて何故か突き飛ばしてくるし、星野さんが何を考えてるか分からないや。
< 97 / 162 >

この作品をシェア

pagetop