結婚のススメ




「なに?覗きなんて趣味悪いよね」

相変わらずニコニコ顔で辛辣な言葉を投げかけられる。



「ちがっ・・・たまたまよ!一緒に帰ろうと思って・・・」

背の高い「アキくん」を見上げるけど、目は合わない。



「やめてよ。言ったでしょ?面倒だから結婚のことは周りに内緒。それに俺たちの結婚に愛はないんだから」

悪魔はやっとこっちを見てニッコリ笑った。



「一緒に、とか禁止。家にくらいひとりで帰りなね?それに俺、部活だし。じゃあ、バイバイ」



ヒラヒラと片手を振りながら階段を降りていく「アキくん」の背中をキッと睨む。



「お嬢様だからひとりじゃなんにもできないでしょ」



「アキくん」はくっくっく、と笑い声が聞こえてきそうなからかうような口調で言い残して去っていく。



・・・馬鹿にしてる。



鞄を握りしめ、ひとりでずんずんと校門に向かう。



タクシーも、パパも鈴木も頼らない!




心の中で宣言して、家を目指す。






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