結婚のススメ
自分が・・・
こんなに方向音痴だとは思わなかった。
学校を出るまでの意気込みは何処へやら、今のあたしは意気消沈。
それもそのはず。
行きは「天空高校どこですか?」が使えたけど、帰りは「うちはどこですか?」は使えない。
だんだんと辺りが暗くなってきてますます道はわからない。
涙が出そうなのをぐっと堪える。
「あたし、ひとりじゃなにもできないわけじゃないもん」
呟いて、元来た道に戻る。
もう、ムリだ。
さっきから同じ所をくるくる回っている気がしてしょうがない。
キョロキョロと辺りを見渡すと後ろから誰かに呼ばれた。
「向田さんっ!」
振り向くとそこに立っていたのはジャージ姿の「アキくん」だった。