結婚のススメ
あたし達の間に愛はない。
だけどあたし達は、今夜も同じベッドに入る。
「今日は、ありがとう」
改めてお礼を言うけど隣で眠る「アキくん」からの返事はない。
「もう寝ちゃった?」
相変わらずあたしに背を向けて眠る彼の大きな背中を見つめる。
「おやすみ、アキ」
こっそりと名前を呼んで、あたしも目を閉じる。
明日は、早起きをすると決めている。
今までは自分で用意したことがなかった朝ご飯に、お昼のお弁当。
明日からは自分で用意しなくちゃ。
それに、きっと「アキくん」だって今までは家族が準備してくれてたはず。
二人で暮らすことになったんだからあたしがしてあげなきゃね。
愛はないと言ってもあたしは一応、奥さんなんだし。
こっそりと目覚まし時計をセットして、夢の中へ堕ちていく。