結婚のススメ
「失礼ね!できないと思ってたでしょ?」
本当になにもできないお嬢様だと思われていたらしい。
「ごめんごめん。ちょっとね」
そして「アキくん」の謝る気なんてない声の口調。
「せっかくだし、いただきます」
「アキくん」は、思ったより素直に席に着いてくれて、トーストをかじり出す。
「どう?おいしい?」
おいしいかはわからないとは言ったけど、そこが気になるのは仕方が無い。
「まあまあかな」
やっぱり、悪魔はあたしの作ったご飯をおいしいとは言ってくれないらしい。
次は、がんばろう。
心にそっと誓って、あたしもトーストに手を伸ばす。
今日は遅刻できない。