結婚のススメ



「ごちそうさま」


きちんと手を合わせてそう言った「アキくん」のお皿を見ると、全部キレイに食べた後。



まあまあ、って言ったのに全部食べてくれるんだって思ったらなんだか嬉しくて、自然に笑みがこぼれる。




「で、向田さんは俺に何をしてほしいの?」


「アキくん」に目を移すと、お決まりの悪魔のニッコリ笑顔を浮かべている。




「へ・・・?」

理解できなくて、聞き返す。



「見返り。わざわざご飯なんか用意して。向田さんは俺に何か頼みたいことでもあったのかなって」


「見返り?」


「アキくん」は時々あたしの理解できない話をする。

それはきっと、あたしより「アキくん」の方が賢いからだと思ってる。



「あたしはただ、ご飯を作ってあげたいなって思っただけで・・・」



「それだけ?」



またしても、キョトンとした顔を浮かべた「アキくん」をあたしは見逃さなかった。




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