結婚のススメ



「い…言ってない!そんなの聞いてない!奈都芽はまだ16歳になったばっかりなのにけ…け…結婚だなんて!」
「大丈夫だよ。日本の法律では女性は16歳で結婚できるんだ」


そういう問題じゃない。
相変わらずニコニコしているパパをきっと睨む。


「嫌よ!たとえ法律で認められてたとしても、見ず知らずの人と結婚なんて絶対嫌!」
「今日の誕生日パーティーはね、君たちのお披露目パーティーでもあるんだよ」


あたしの言うことなんて聞いちゃいない…。


「もうすぐ来るからね、奈都芽」


・・・逃げよう。
あたしの短絡的思考じゃこれくらいしか思い付かないけど、仕方ない。

他に方法も思いつかない。



クルッと半回転して、出口までダッシュ。


我ながら、すごいスピードだったと思う。

パーティーが行われるはずだった広間を出て、長い廊下を走り抜ける。
曲がり角を左に猛ダッシュで曲がった瞬間だった。


ドンっっっ


「いったあ〜・・・」

何かに思いっきりぶつかって尻もちをついてしまった。


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