花火~散る記憶~
「ごめんね…繭。貴方がお兄ちゃんっ子だったから…この事実を知ると悲しむのかと…もっと早く言えば良かったのかもしれないけど、頭の中が混乱して、逆に記憶を思い出すことが難しくなるって先生に言われて……」
お母さんもずっと悩んでいたんだ…
まさか記憶喪失になるなんて、思いもしなかっただろうに。
私だって、今でもちょとも疑問だもん。
本当に記憶喪失があるだなんて……
「巧弥くんね………引っ越したらしいの。昨日」
え!?どういうこと!?
「私が昨日倒れてすぐってこと!?」
「違うの…。繭は2週間も寝たままだったのよ」
う……うそ
2週間も…?
私…何やってるのよ!
巧弥くんにもお母さんにも、真梨香やあっくんにまで迷惑かけて…!!
「た、巧弥くんどこに行ったの!?」
「アメリカ…って」
アメリカ…
時差ってどれぐらい?日本までの距離は?
―――…だめ、考えられない
「うぅぇ……っ…巧弥くん……っ!」