花火~散る記憶~
第3章
春~新学年~
あの日から何日経ったのだろう…
ずっと忘れられないでいる。
巧弥くんのことを――――…
新学年になって 私達は3年生になった。
真梨香とあっくんと一緒のクラスになれた。…真梨香とあっくんには、まだ記憶喪失になってたことを言えてない。
でも巧弥くんが転校したことに対して、とても気を使ってくれる。
「繭っ お昼食べよー!篤人とも♪」
もう4月が終ろうとしていた。
5月の中旬には修学旅行も始まるし…
楽しめるかどうかが心配
「あっくん…私話したいことがあるの」
あっくんは私の真剣さに気付いてくれたのか、あっくんも真剣になった。
「私…ずっと記憶をなくしてて――」
私の過去をすべて教えた。
隠さずに すべて
巧弥くんのことも、事故に遭ったのも
―――そして話はすべて終わった。
あっくんと真梨香は怪訝そうな表情だった。ずっと静かに話を聞いてくれた。
「……ごめん、繭。俺ら全部繭のお母さんから聞いてて知ってるんだ」
え―――…どういうこと?
私の知らない間で何が起こってるの?
「繭が転校してきたのは、中3だろ?
俺らと仲良くなっていき……そしたら繭のお母さんから繭のことをすべて聞かされたんだ。安堂巧弥のことも。俺は知らないフリして繭と付き合った。安堂が転校してきたときは、驚いたよ。……次第に繭が安堂に惹かれていくのもすべてわかってた。」
あっくん……
私どうしてもっと早く言わなかったんだろう
私自分のことばっかりだから、全然気付かなかったけど、あっくんも真梨香も苦しんでたんだ――…
「繭…ごめんね。知ってて意地悪したの
……。安堂くんが好きとか言ってた。本当ごめん…」
私は声にならなかった。
ただひたすら泣いた。
今の私に、いったい何ができるのだろう……