花火~散る記憶~
……昼休みを終えると、またいつものように戻る。
何事もなかったように。
でも私は泣いてしまってて、保健室でゆっくり休んでから 教室に帰るようにって言われた。
「先生ー。すみません 保冷剤ください」
全然楽しくない
巧弥くんがいないと、何も関心が持てない。
大笑いとかもできないよ。
「…はい。顔が疲れているわよ?受験生って大変だものねー…」
“受験生”か。
アメリカの暮らしはどうなんだろう。
巧弥くんともう一度会いたいなー。
………そうだ!
「あ、先生、ありがとうございました!」
「え!?私なにもしてない…」
すごく簡単なことじゃない!
バイトして、お金貯めて私が巧弥くんのところに会いに行けばいい…!
今まで貯金してきたのも含めると、夏休み中には 行けるかも。
ガラッ
「失礼します」
いつもより明るく真っ直ぐに 教室に入れたのは、何ヵ月振りだろう…
また新たに目標ができた。
そこに向かって、一生懸命になれる。
今私にできることなんだ――…