花火~散る記憶~



―――沈黙






沈黙が続いた。
聞こえるのは、鍋が沸騰した音だけだ。




そして先に沈黙を破ったのは、お母さんだった。








「いいわよ」





え…?
いいって……行ってもいいってこと?





「その代わり、しっかりと勉強しなさいよ。大学もちゃんと決めなさいよ」








お母さん――――

いつもこうゆうのは、すっごくうるさくて…絶対だめって言うと思った。




ありがとう。











さっそく真梨香にメールを打った。

この調子で巧弥くんに会えたらいいなー…。








ずっと―――深い眠りに入っていたんだね。

私…本当は分かってた





でも現実を知るのがとても怖くて、ずっと重い瞼を閉じていた。








けど、巧弥くんが その重い瞼を開けてくれた。




こんな私を、また好きって言ってくれた。

そして私は、また巧弥くんを好きになった。





どれだけ巧弥くんには感謝すればいいのかな…










もし巧弥くんに会えたら まずはお礼を言いたい。だから絶対会ってみせる。



アメリカなんて遠いけど、私達は同じ場所にいるってことを忘れない。








ずっと同じ場所なんだ―――…。











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