花火~散る記憶~



ーーーーー…



お風呂に入って、部屋ではガールズトークが始まっていた。

彼氏の話とか色々。




そんな話には…全くついていけない。








ついていけないってより…私が拒否してる。

私、昔はこんなネガティブ思考じゃなかったのに…
もっと自分の意見言えてて、ハキハキしてて 明るかったのに…。





ガールズトークが、すごく胸が苦しくなって 夜風に当たろうと、海辺へ向かう。









そこには、月に照らされた海が 透き通るように綺麗だった。

誰か、いる……




あの面影はーーーーーー。










一瞬見間違える所だった。

だっていないんだもん。ずっと…
私の前から姿を消した…。



何度も何度も、思い出しては胸が苦しくてたまらなくなった。







ずっと一緒に過ごしてきたから、わかる。

あれは………








「た……巧弥く…ん…?」










男の人はゆっくりと振り返る。

あぁ…巧弥くんだ



抑えてた涙が一気に溢れ出てきた。
なんでいるのか、とか全く考える余裕がなかった。




「繭……」





懐かしいあの声だ

私はゆっくり近づいて、ギュッと巧弥くんを抱きしめた。



「巧弥くん…私記憶取り戻したの……っまた一緒にいられる」







ーーー…どうして手を回してくれないの?


「繭、俺もうお前の事好きじゃないんだ。…ってかアメリカで婚約者が待ってる。繭には婚約の事を報告をしに戻ってきただけだから、誤解しないでほしい」











………え?


婚約?

巧弥くんが?他の人と?





私の事…もう好きじゃない??



巧弥くんからゆっくり体を離す。
巧弥くんは、真っ直ぐ曇りなき瞳で言うから、何も言えなくなった。





「嘘…でしょ?ねぇ 」






「嘘じゃない。現実を受け止めろ」









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