花火~散る記憶~





「…」



家の玄関前で、立ち止まってしまい なかなか家の中へ入れなかった。


なんか…話題!





沈黙が続きすぎだよ!!




「繭、今日のこと 忘れんなよ。一生の思い出にしろよ」




先に沈黙を破ったのは、安堂くんだった。



「そーだねっ 絶対忘れない!…じゃ」








なんで私「じゃ」って言っちゃったのかな…
バカバカバカ!

そうしたら、もうお別れで 今日1日が終わっちゃうじゃん!




…終わってほしくないなぁ~







私が家のドアを持とうとした時…

安堂くんが私の手を握ってきた。



そして私を安堂くんの方へと近づけさせ、抱き合った。





安堂くんの腕の中は、すごく力強くて温かくて…安心した。


「急にごめん。…でも今日1日が終わってほしくなくてなーっ」





だからって抱くか?

「秋って、こんなに寒かったっけ?安堂くんの腕の中が、温かく感じるよ…」






でも文句言えない。

だってなんか…ね。





複雑な気持ちになるの。







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